茶道規範77 利休伝

要録の付録、利休伝。

まずは紹鴎の話。

(略)
其比其所ニ大黒庵一閑紹鴎ト云人アリ
茶道ニ巧ニメ雄逸比倫ナク其名天下ニ周シ世人擧フテ彼ガ門徒トメ茶流ヲ汲ミ其意味ヲ不甘ト云者ナシ
利休其高弟也然モ(略)其英達ノ性抜群ノ器タリ

利休は紹鴎の愛弟子、という設定。

ちょっと違うのは、武野宗瓦の設定。

其終焉ニ及テ言ヲ遺シ其息宗瓜ヲメ家業ヲ續シメ其傳ヲ授輿セヨト
是其術ノ長セル證タリ
宗瓜其比童形タリ因テ綺羅帯佩テ脱貞ニス或ハ紅筋ノ帷子ヲ著シ或ハ不洗絹ヲ紅粉トス
不幸ニシテ早世タリ
故ニ人能ク其名ヲ知ルナシ可惜哉可惜哉

紹鴎が死んだ時、宗瓦が幼少だったので、女婿の今井宗久の後見で育ち、紹鴎道具をネコババされ、最終的には秀頼に仕え、大坂夏の陣前に64才で死去している。

しかし、本書の「宗瓜」は、未成年をいいことに脱貞…伊達な格好をし、早世した事になっている。

同時代の南坊録で、道安が早世したことになっているのと重なる。
優秀な先達の二代目が家を続けられなかった場合、早世したもんだろうとでも処理してしまうこの時代のメンタリティが封建主義的である。


それにしても「おしいかなおしいかな」じゃねーよ。
もしかすると、この時代の千家は、「堺」との交流が途絶えていたのかもしれない。