幻の茶室転合庵2 伏見転合庵

当家の古記録によると、

伏見転合庵之記

一 南向藁葺なり
一 上段五帖半 張天井 北に一間の付書院有り 畳より一尺二寸有り 書院障子二枚
(略)
一 次の間六寸五分下り 三帖台目也 台目先は板床也 初香炉など可置
(略)


この茶室の特徴は、五畳半と三畳台目の間の「台目先は板床」だという。

だが、台目に向板が嵌まるのは、ごくごく当り前の事だ。

元来転合庵は、寛永十四年、桂宮家より茶入─於大名─を拝領の節建築し、その席
開きに桂宮をお招きするという目的で作られた。
(略)
これらはいたずらに遠州が奇を好み、在来の形式を打破するのが目的ではなく、上段の間より下段三帖台目の点前を眺めるのを容易ならしむるために、かかる手法を用いたのである。

つまり、五畳半の方から見た時に、お点前がよく見える、という解釈である。

三畳台目側から点前座を見る方向へ、立体風に描き起こしてみた。

Aが「板床」部分である。
そしてBの部分がどうなっているかがよくわからない。
壁があるのか、ないのか?


上段の間と下段の間の高さは20センチ近くある。
Aの部分は普通に向板というわけでなく、その落差を利用した床(板床)になっており、五畳半側とツライチになっているのだろうか?かつ、Bの部分は素通しなのだろうか?

Aの部分が普通に低い向板になっていて、Bが素通しなのが一番見易い席だとは思うので、そこを板床にする理由がよくわからない。


宗通さんの想いが強い割りに文章力がアレなので、本書の描写からではちょっと判り難い。