幻の茶室転合庵3 松屋会記に見える転合庵

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すなわち、遠州の没する約半年前、正保三年八月二日の項に
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転合庵茶屋にて、御茶被下
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長囲炉裏ニカネの輪置て
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と見えている。

松屋会記に載っている転合庵は、長四畳二部屋に長囲炉裏の茶室である。

長四畳が二つ並び、天井で区別される実質八畳間。
スノコ天井の側は、周囲の棚と板疊、二重棚と釜にアクセスできる。

この図では長囲炉裏は長四畳に切られていると言うより、その外の土間に併設されているようにも見える。

根布川石がある土間から、客は下段を通って入室するのだろうが、床は、上座はどこなんだろう?
書院の位置からは下段の長四畳側が上座な気がするし、亭主はどこから入ってお点前するんだろうか?

そもそもこの平面図の茶室ではお茶が成り立たない気がするのだけれど…。


なお著者は

次に「同記」正保四年正月二十二日の項には、
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丁亥正月二十二日 小堀遠江守殿
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新造にて
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さてこの「新造」こそは、おそらく「伏見転合庵之記」の上段の間付きの三帖台目を指しているのであって、その完成が茶屋よりも幾分遅れたので、「新造」といったのであろう。<<

と、別の部屋を転合庵に同定している。

しかし、遠州松屋さんを自分の茶室全てに招くとは限らないわけで、その同定もちょっと無理筋かなと思いました。