閑夜茶話11 石州

石州へ土州の太守初入の茶湯習ひたきよし望まれしかば
先座敷の掃除あれとて、小座敷に至り茶道中に掃除の仕樣を習はしむ。
掃除終りて關師の前に出て給ふ。
掃除濟みたらば茶を挽き給へとて、茶の挽樣を習はしむ。
關師は是數寄屋の第一の事なりと申されしとなり。

水屋仕事が茶の湯の肝要である、という立派なサジェスチョン。

…でも、どっちかというと「土州の太守」山内忠義か忠豊あたり?が、それをさせられた、という石州の権勢を書きたかったのかもしれない。

石州宗關師に道具目利を頼む衆候へば、
目利は存ぜず、茶湯に出すべき物か出す間敷物か其段は申すべく候
道具の新古は何方なりへなりとも御談合候へとて申されず候
關師不斷に申さるヽは、千貫萬貫の道具にても茶湯に出さヾる道具もあり
新茶入にても數寄の道具あるものに候
(略)

石州は目利き……道具の周旋を避けていた、ということだろうか。
利休が死を賜り、織部が死に追い込まれ、遠州が横領で失脚しかかる、みたいな先達を見たら、茶の湯利権からちょっと遠ざかりたくなるかもしんないねぇ。