閑夜茶話15 終わりに
閑夜茶話は、井伊“宗観”直弼が書いた茶の湯のエピソード集である。
多くを南坊録から採用しており、山上宗二記や茶道四書伝書/松屋会記や茶道便蒙抄/茶道要録からの引用もあるようだ。
不思議なことに茶話指月集からの採用はない…というか、不確実な感じ。
朝顔の茶事が利休と秀吉でなく、利休と紹鴎の話として紹介され、秀吉というのはいかがか?とコメントもある。
んで、他書に見たことがない(単なる勉強不足かも知れないが)エピソードも有る。
ここで問題なのは、閑夜茶話が何のために書かれたものか?ということである。
閑夜茶話はどうやら直弼が若い頃から書きはじめ、殺された時期にも完成を見ていないエピソード集。普通に考えれば自分用覚え書きである。
覚え書きなら創作する必要はない。ここにあるエピソードは、どれも直弼が読んだ茶書、あるいは茶話に聞いた話をまとめたものである。
であれば、オリジナルのエピソードは、現在失伝しているが当時としては存在した伝承ということになる。
でなくて、刊行しようとしたり、知己に配布するために書いたものであれば、創作が含まれてもおかしくはない。
閑夜茶話を行単位で、どこを出典とするのかを研究したものはないだろうか?
どっかの大学の卒論でありそうなもんだが…。
まぁ、「俺の考えたかっこいい茶史を書いた黒歴史ノート」が死ぬ前に始末できなかった、というだけの可能性もないわけではないが。