釉から見たやきもの3 なにが釉か?

座敷を掃く箒があります。
この箒を指して「箒は釉である」とはいう人は誰もいません。
しかし箒を燃やして灰にすると、それはもう立派に釉と呼べます。

極論だぁっ!!

浅間溶岩は粉砕、加水して泥漿化しないと釉とはいいません。
しかし福島県阿武隈山系西縁で採掘した長石は、粉砕、加水などと特に言葉を添えなくても“長石は釉だ”といいます。

…いや、なるほど。

釉とは製造プロセス含む完成品なのか、ただ材質だけなのか定義に揺らぎがあるのか。

問題はここにあります。
世間一般が「釉」と呼んでいる以外のものは釉ではないと考えがちな見方を、この「釉」という言葉自体が内蔵していることです。
(略)
何を釉と呼ぶか?
それはたいへん拡がりのある解答を持っています。
この拡がりのあるものをただ材料屋で売られているものだけに限定してはいけません。もっと広い自然物や人工品のなかへ目を拡げたいものです。

んで、常識にとらわれるな、と。

なお付け加えますと、十五年前のクレンザー単味は、一二五〇度で平滑に融ける良い釉になりましたが、現在のものは前のものに比べ融けにくいものになっています。
(略)
水彩絵具は一部メーカーの黒を除いて、ほとんどが単味でおもしろい釉になります。

だからといってこれか。
著者の実験精神には頭が下がるなー。