釉から見たやきもの6 窯能力が高いと融けるものが多くなる

私は日本各地の土、石、陶片、植物(灰にして)、人造品などを幅広く窯に入れて融かすテストをしています。
(略)
この数多いテストから帰結されることは一応次のような傾向です。

  胎として使える物質 釉として使える物質
高火度
多くなる 多くなる
低火度

なるほど。本来釉と胎とを分けるのは、窯の火力で融けてしまうか融けないかの違いなのか…。

1 一三五〇度前後では…

胎 臘石、硅石、蛇紋岩の一部、流紋岩の一部、瀬戸、美濃の大部分の土、信楽の一部の土、各種耐火土、陶産地付近の一部の土など。

釉 右以外のほとんど融ける。石灰岩などもこの温度で融けるし、窯用の棚板でも粉砕して施釉すると融けたとはいえないが釉着している。

2 一二五〇度前後では…

胎 前項のものに多くのものが加わり、常滑備前などの土も大丈夫になる。

釉 石灰岩は融けないが、他のたいていのい岩石、砂、海成粘土、新生粘土なども融けて釉にできる。

3 一〇八〇度前後では…

胎 鉱山関係、ある種の断層粘土、海のへどろなどは形が崩れるが、その他はほとんど胎として使える。

釉 この温度で飴のように融ける自然物は探しあてていない。
もしこれが発見できたら私はどんなに嬉しいだろう。
もちろん鉛とか錫、亜鉛などの人工品、あるいは精製品は融けるが釉として不適当。

瀬戸美濃信楽の土の胎としての優秀さってのと、焼きしめ陶器の備前の土が以外に火に耐えないのが興味深い。
地域的な綿では瀬戸美濃と常滑で差ができる、というのも不思議不思議。
海に面しているのがいかんのだろうか?