釉から見たやきもの10 釉と焼成

一度焼かれたものを再度焼き焼成を変えてみる

写真25は三州瓦の生産地、愛知県碧南市の瓦工場から拾ってきた赤瓦の破片の更に
一部を欠き、私の窯で一二八〇度ぐらいで再焼し(略)
三州赤瓦は焼きを買えると、三州白瓦に変身したのです。
この釉を瓦屋さんは赤ぐすりというでしょう。でも私が使うのなら“いや赤ではない白ぐすりだ”というでしょう。
いったいどういうことでしょう。
(略)
どんな調合になっているか、私が作ったわけではないので知りませんが、釉のベースは焼くと白くなるものを使い、それに赤の呈色剤を入れてあるのでしょう。なお、この瓦の焼成温度は約一〇五〇度だとされています。
これを一二八〇度で焼くと、赤を呈色させる物質はガスになって昇華してしまい、ベースの白だけが残ったものだと思われます。

これまでの話と傾向が違って、別の火力で焼くとどうなるか?というお話か。

古陶片再焼

(略)
・分解破壊するもの
(略)
・釉が融けすぎるもの
(略)
・再焼してもほとんど変わらないもの
(略)
・胎の色が変化しても、釉生成物の色は変わらないもの
(略)
・胎そのものは変化しないが、釉生成物の色が変わるもの
(略)
・胎の耐火度が弱い場合、釉生成物の色などもそれと連動して大きく変わるもの
(略)
・白色に呈色して温雅な光沢をもっていたものを、再焼してテカテカのガラスにしてしまったもの
(略)
・釉の発色はほとんど変わらないと観察されるが、胎の変色により見かけの釉の色が変わるもの
(略)
・胎も釉の発色も変わるもの
(略)

古陶をもう一度焼き直すと、いろんな結果が出る模様。

「再焼してもほとんど変わらないもの」磁器を除けば、胎か釉か両方にダメージが出るってことだろう。
結局は窯の能力が昔よりずっと高い、ということの証明でしかないのかな?