釉から見たやきもの20 長石

白は古代から尊ばれた色相のようです。
(略)
陶においてもおそらく憧れの的だったでしょうが、これはたいへん難しく、現代の作品でも厳しくいえばまだ白が焼き出されていないのかもしれません。

というわけで、志野などで代表される「長石釉」のお話。

長石は釉石の出発点であり、また最後に到達すべき極意点でもあります。
それは一般に長石は融かしやすく、流れ難く、その上に色がないという三大利点を持っているからです。
しかし一口に長石といっても実にさまざまで、アレモ長石、、コレモ長石で、開き直られて“では一体どの石がホンモノの長石か?”と質問されると、“これがホンモノの長石だ”といって差し出せる石がありません。
これがもし硅石なら、水晶を持ち出して“コレがホンモノの硅石だ”といえるのですが、長石ではそれがいえないのです。

ここからあと、各地域の長石釉の違いに関して長文が続きますが、割愛。
「長石釉」なんて、白くなりゃいいじゃん、志野の表面のシュガーコートみたいな奴でしょ?程度の理解だったんですが、実体は全然違うのね。
地域と添加物と焼き方で、ころころ変わるかなり奥の深いものの模様。

これに関しては実際に焼いた人以外はうまく鑑定できないんじゃないかなー。