茶道文化論集19 大和の古工芸

奈良を中心とした大和の古工芸発達の跡を史学徒の立場から眺めて見よう。

ということでなぜか奈良の工芸品。

一 奈良墨

奈良で工芸品といえば、先ず墨に指に屈するであろう。
この墨は大陸から伝来し、寺院などでは必要に迫られて自家製作を行ったものであろう。

特に異論はない。

二 奈良晒*1

墨は手工業的な製作過程が多く、従って明治以後になっても近代資本の余波も受けず、奈良がその伝統をも誇ってその業者の数も増して現在に至ったのであるが、これに反し、明治以後は殆んど衰退してしまったものの江戸時代にはその量質共に全国に冠絶していたものに奈良晒がある。

まぁ仕方ないよね。明治日本は近代紡績軽工業の国となったんだもんね。
家内制手工業は厳しいよね。

三 奈良紙

北部大和の奈良晒に対して、南部大和では吉野紙があげられる。

これも特に異論はない。太閤立志伝のゲームみたいな感じだが。

四 奈良団扇と奈良人形

完璧御贈答お土産品である。

五 赤膚焼

赤膚焼は奈良の焼物としてかなり著名になっている。
その創始は小堀遠州にかけ、或いは野々村仁清にかけている。
年代は凡そその頃からと見るべきであろうし、これは遺品の研究からするべきであろうい。

…つまり何もわかってなくて、いちばん肝心なトコが検証できていないということ?

六 刀剣具足

今は殆んど跡を絶ったというと、現存の小鍛冶や菊一文字家などが怒るかも知れないが、刀甲具足鍛冶は江戸時代の奈良工芸の事であった。
(略)
需要の減退と近代工業の波に没し去ったものである。

奈良の刀に関しては、「私とあなたは奈良刀。切っても切れない仲」というバレ句があったそうで、つまりお土産の粗悪品ってことである。

江戸時代に、伊勢ならともかく奈良に観光する、ということがあったようで、意外と江戸時代が豊かでびっくりする。

*1:本文では口+暴