美術骨董品投資の秘訣3

この本の「いくらあったら何を買うか」が、当時の相場を偲ばせて結構面白い。

五万円あったら何を買うか

資金の五万円は洋服二、三着分の金額である。
これは、大正から昭和にかけての時代の百円か、百五十円の金である。

昭和元年の公務員初任給換算で、現代の25万〜35万くらいの値段の話だと思う。
ざっくり30万ということにしようか。
オーダーの背広の値段3着分と思えばそう離れてもいないし。

大雅堂は日本南画の創始者として、奇逸な風格の画仙として、超一流の画人である。
(略)
そのくせ、大雅堂の作品の相場は、現在まだそれ程高いとは思われぬ状態にある。
だから、五万円出せば、相当な大雅堂の作品を買うことが出来る。

現代で池大雅を30万で買ったら、まずまちがいなく偽物だと思う。

十万あつたら芭蕉の名句など

60万で芭蕉の短冊か…現代だと相当の掘り出し物じゃなかろうか。

三十万あつたら抹茶碗など
(略)
三十万あれば茶碗も相当よい品が買えることになる。
陶磁器では万暦赤絵も買える。
青磁物は一寸三十万円では名品というわけにはゆくまい

180万の茶碗か…。楽しめそうだけど売りさばいて利を得るにはちょっと安い気がする。

五十万でたヾ一点の名品
(略)
資金が五十万円となると宗達も相当の力作が買えるだろうし、茶碗もだん/\上物が買えることになる。

300万で?たぶん一桁いやもしかするともう一桁違う。

百万円あつたらフランス近代繪画など

資金百万となると宗達、茶碗といよ/\名品が買えるようになる。
旧重要美術品、新旧国宝、新重要文化財の中でも相当の名品が買えるだろう。

現代の感覚とは二桁ぐらい違うなぁ。

終戦からさほどではない時期とはいえ、昔は道具が買い易かったんだなぁ…。