美術骨董品投資の秘訣10

書画の交換会に出席して見ていると、一点十万円以上もする書画が、抛り出すようにそこに展べられると、玄人がそれを取り囲んで、かわる/”\さつと眺めて、すぐに何万円、十何万円という入札をする。
あんな短時間で真偽が判るのか、評価ができるのかと見ている方がはら/\する。

そう。プロの鑑定はおっとろしく速いんだよね。

むろんこれらの古画の中には玄人連中は、既に何年か、十何年か前に、見て知っていて、その時の相場はいくらであつたことまで記憶している品もあるから、これについてはら/\する傍観者の方がどうかしているわけである。

なるほど。
市場をぐるぐる廻る品もあるもんな。

然し全部が全部そうではない。
そこではじめて接する品も多いのである。
はじめて接する品の場合でも、玄人の態度は同様で、殆んど考えるひまもないくらいに、迅速に入札してしまう。
(略)
この品はあの客にいくらで売れるから、いくらまで買つて差支えないという計算がさつと出てくる。

お茶をはじめた頃だが、入札会に行ったことがある。

http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20070704

その時の感想と合致するなぁ。

客を念頭に置いてなきゃ「百万!」「百五十万!」とかさくさく応札できないよ。

しかし、この玄人の瞬間の判断は、評価の点では主観の問題であり、とやかくいう筋合は無いが、真偽の判断の点は全部が全部正しくは行かないのが実情である。
瞬間に判断できるのは、この品は本物として売れるか売れないかという線までヾある。
玄人が瞬間に判断して、この線の上にあると見た品の中にも、贋せ物が相当数あるのが本当の実情である。
玄人は多年の経験で、それが本物であつても、贋せ物であつても、結構売りこなし売り抜ける。

つまり、茶商もカモがいること前提の買い物をするわけで、有名茶商だからといって安心はできないってコトだな。