美術骨董品投資の秘訣14

偽物の話の続き。

大雅堂や蕪村の贋せ物にはその弟子の描いた画が化けているものがある。
もしその画に入つている落款が切り落せるような位置にあつたら、それを切り落として画を細くして、大雅堂なり蕪村なりの落款を入れる。

落款は割と端に入れるからなぁ。

妙に幅の細い画幅には注意、ということか。

切り離せない場合は、落款のところだけ抜き取り、類紙で埋めて、他の場所に落款を入れて贋せ物を作る。
これも、画そのものは本物であるから、贋せ物特有の不自然さとか、卑しい気分は出ていない。

切り離したところに落款を入れたら不自然きわまりないもんなぁ。

どこかに補修跡のある掛け物は、ちゃんとした落款があっても危険ってことね。

絹本の幅は落款を抜くことなどは困難であるから、後から手を入れることは少いが、紙本のものは、どのようにでも改竄ができる。

なるほど。絹は破損させにくいわな。

殊に最近は、技術が非常に進歩して、殆んど肉眼では判別がつかないくらい精巧な改竄ができる。
その方法は、同じ種類の紙を使つて、一部分を漉き直して継ぐのである。
画の位置、落款の位置、画の巾など自由自在に改造が出来る。
一行の竪幅を横幅にすることなどお茶のこさい/\である。
横幅は、大体に於て、その数が少なく、竪幅より値段が高いから、こういう改竄がどし/\行われる。

継ぎはぎアリアリで、それが判らないようにできて、勝手な落款も押せちゃう。
ここまでされちゃうと、何にも信用できそうもないなぁ。

もう紙本の古い絵は買うべきじゃないんじゃなかろうか…。