茶花の本名2
茶会記の中から茶花の抽出をしていると、時々これは何だろうと思われる花にぶつかることがあります。
そんな一つに「キンセンカ」があります。
キンセンカの名は、天文十八年(一五四九)二月十一日の「天王寺屋宗達会記」に「金仙花」として見るのが最初と思われますから、茶花の中でも名前が確認できる最も古い植物の一つになります。
茶花として古くから使われて来たキンセンカ。
「キンセンカ」として、現在の我々が親しんでいるのは、いわゆるカレンジュラ属のホンキンセンカとトウキンセンカではないでしょうか。
しかしこれらはほぼ幕末期に渡米してきたといわれていますから、中世末の「キンセンカ」たちとは別の種に比定しなければなりません。
でも我々が普段目にするものとは違うものであった筈、らしい。
前述の古典茶会記類から、キンセンカの入れられた日付を調べてみると、二十二例の内、一月二例、二月二例、三月三例、四月四例、十月五例、十一月五例、十二月一例となっていました。
これからすると、キンセンカの花の時期が冬から初夏にかけての七ヶ月にわたっていることになります。
(略)
しかし、このように考えてきますと、古典茶会記の植物がすべて当たっているのかも知れません。
少なくとも「金箋」や「金銭」の形容にふさわしい花をこれからも捜していきたいと思います。
開花時期や使われ方から候補を捜しても、ふさわしいものは無かったらしい。
茶会記を読むときには、現代との名称の違いまで検証しないといけないとは。