茶道具の用と美17

三田 伝統工芸展で今度も釜がいろいろ出ていましたけども、使うというふうになったらこれはどうかなと思うようなものがありますね。
中村 釜はむずかしいですね。
松井 むずかしいですね。
三田 だから、つい、全くの写しでなくても古い形の、「これならば」というような古い形にどこか似ているというようになるのですね。
中村 それと、また今度は逆に大変現代的な工芸品ばかりでお茶をというふうなときに一番困るのが風炉釜ですね。それのスラッとモダンな造形ってないのですよ。だから、そういう場面に使うものという前提でだったらいろんな造形ができると思いますけれども、やはり風炉がね。

釜は難しい。茶席での存在感がありすぎ、滞在時間が長過ぎる。
だから、変なものが置きにくい。
他の道具も釜にひっぱられてしまう。

松井 (略)風炉釜の斬新を考える人がおらんでしょうね。
中村 それをやってほしいですね。
松井 何かびっくりするようなものが出てきたらまたおもしろい。
中村 風炉釜のそういうのができたら、あとの道具も全部変えなければなりませんからね。やっぱりそういう全体のバランスというのが。
松井 バランスですね。
中村 だから、一職一職、それを中心にやっていかねばならないのですけど、全部そろったところを思うとやっぱり時間をかけなければなりませんね。

いやあのさ。千家十職なんていう恵まれた人が新しいチャレンジをしなきゃ、誰がすんのよ。

経済基盤に恵まれない作家が変なものを作って売れなきゃどうするのさ?

最後のトコからすると多少は判っているのかもしれないけど…。

そういう意味では楽さんは頑張ってる…のかな?