茶道具の用と美18

三田 松井先生、写しものってよく言いますよね。このごろは何でも写し、写しと言いますけど、全く本歌を見てないから、その写しと言って売っているものをそうだと思っていますけど、本歌を見たら大分違うみたいですね。
松井 そうそう。

あーーー…佐々木昭楽さんをディスるの止めようぜ?

三田 だから、写しというのは私が聞いたところでは、お作りになったところで作るのが初めて写しだというふうに聞いているんですけど、どこで作っても写しでいいのでしょうか。
松井 いやいや、本当は、例えばいまのお家元好みの宗哲さんの丸卓としたら、これは宗哲さんにしかつくれない。
三田 そうでしょうね。ですから、いま、普通に売っているのは写しとは言えないじゃないかと思うんですよ。
松井 そうそう。
三田 それ風というか。
松井 風というより、むしろ稽古用です。

なるほど、あれだ。
亭主本人がやらなきゃ跡見の会じゃないってのと同じだ。

三田 お好みものが出ますね。それが一ヵ月しないで同じものがワーッと出てくるんです。私はそれはデザインの盗用だと思うんですよ。
松井 それは道に反していると思う。

でもねぇ。

家具の世界は「リプロダクト」って呼び名でデザイン流用のオッケーみたいになってんのよ。でも意匠権で15年は保護される筈なんで、訴えてみたらどうなん?と思うんだけど、デザイナーたる家元宗匠は裁判なんて望んでないよね…。