新修裱具のしをり5

行の幢褙(宋音ドウホエ)は堂褙とも書き、又道補絵とも書く。
今一般に幢補と呼で居る。
普通の表裝式である。
(略)
単に幢補と云ふ説きは行の式を指すのである。

幢褙は左右が別布になっている、経済的なもの。

輪褙は宋音ルエンホエで昔は輪補絵と書いた。今は単に輪補と呼んで居る。
幢褙の中縁の左右の柱を極く狭くしたので、普通で二分から三分、大幅で五分までのものである。
(略)
単に輪補と呼ぶ時は、この行の式を云ふのである。
草の式は行の一文字を略したのである。此式は普通茶掛と云へるもので、四畳半式の小床に用ひるに適する。

輪褙は左右が極狭いものを指す。

形式の話だけだとここで終わる。私もそういう認識で(昔は)いた。

つまり:

昨日の裱褙は仏具としての仰々しい仕立て。
幢褙は、それのカジュアルダウン。
輪褙は幢褙の左右が狭いもの。


だが、今の私はもう少し勉強しているのだった。

輪褙を輪褙足らしめ、「草の掛物」とするのは本紙である。

例え左右がぴっしり狭いものだとしても、本紙が仰々しいと、「草の掛物」とならない。

表装される中味と、表装の格が合っていないとそれはちぐはぐな掛物になってしまう。
表装は表装に過ぎないので、中味が大事ということだ。