新修裱具のしをり10

割出寸法

今法古法

表装の恰好をなすものは上下左右の表紙が均等を得るので、表装をなさんとする前に慎重に考慮を要するのである。
此事に既に古人が深く研究して割り出し寸法と称して大体の標準が示されている。
(略)
我国に於て徳川時代から表具師間に於て一定の標準とするところの割出寸法は一文字の幅より定めて、中の上・天の寸を求めるのである。
下の方は上の半分宛と定めてある。
即上の一文字に四を乗じて中の上の寸法、その中に三を乗じて天の寸法にするのである。

わかりにくいので図を整理する。


上半分の比率がこんな感じになるのがルールである。

割出寸法の古法と云ふものは上下を二ツ割にするのである。一文字も上一寸なれば下は五分とした。
下を六分とするのは後の割出しである。

んで、下半分に関し、上半分の半分サイズにするのが古法。
60%サイズにするのが後の設定だと言う。

つまり古法の方が本紙に対する表具の割合が少ない。

表具を見せたいという爛熟の表れじゃないだろうか。

此古法はまた能阿彌・相阿彌に定つたのであつた。
蜂屋出羽守は相阿彌の伝を伝へて表具の上手であつた。
其伝をまた利休に伝へた。
利休が取合一人の出来と云ふ寸法も此の古法である。

まぁこの辺はたわごとかな。
蜂屋頼隆がそんなものに習熟してなきゃいけないのかまったく判らん。