飛石・手水鉢

上原啓二/加島書店/1958年。

ガーデンシリーズ3となっていて、巻末のリストによると、1は「小庭の作り方」2は「庭石と石組」。
別にお茶の本ではない。
この時期に始まった高度経済成長とマイホームの夢が詰まったシリーズではある。小市民向け?

巻頭言にはこうある。

庭園の細部、構造物のうち石を材料として造られているものを本編に全部収録して、シリーズ第二巻につづいて完全なものとしたいと思っていたのであるが、石燈籠や庭井戸の分量があまりにも多くなったので、それらは第四巻に収めることとし、本編では主として飛石・手水鉢に関することを既述する。

割とステレオタイプな庭観であったこの時代でも分量4分冊か〜。薔薇のアーチだの夜光るドワーフの像だとか、いろいろバカなものが増えている現在だともっと大変そうだ。

この両者はいずれも日本庭園の構成部分として古来やかましくいわれるものであり、もともと茶庭から発祥したものであるが、現在では住宅の庭園にかなり多く使われている実情にかんがみ、それら材料、構造についての概念や来歴を一通り古書に付いてさがし出し収録したのである。

ということで、茶庭の文献をベースとして話をしてくれるということだが…やはりあの時代の庭は茶庭が基礎にあるんだなぁ。

個人宅では池泉回遊式庭園は造り難いし、コンパクトにも作れる茶庭がベースになるのは必然か…。