飛石・手水鉢2

軒内という言葉は普通の日本式住宅ならば、どこの家にも見られるものなのであるが、この名称は聞きなれないかも知れない。
縁側があり、その前に沓脱石があり、それから庭に出られる造り方、すなわち書院縁側というもので軒から飴が落ちる部分に一線を引いて見ると、それから内側で縁側までの細長いところを指している言葉である。

ああ、なるほど。
日本家屋の家屋と庭は縁で接していて、そこが縁側である。
なおかつ、縁側と外の境界は、軒の雨落ち線というのが定義なのか。

読んでいてすっきりする定義である。
もちろん壁で区切られている部分もあるが、そこは出入りしないんだから考慮しない、というわけか。

通常の住宅であれば軒の出は二尺五寸内外、土庇が長く出れば四尺でも五尺でも自由にとれる。
こうなると軒を維持するに柱にとりつけた腕木だけでは危ないので必ず柱が軒をうけて別に立つことになる。
(略)
縁側や濡縁がない場合(茶室はそうである)には、土台の下に一列に並んでいる石の形も庭の方向から見て大切になってくる。
この石が差し石で、これは土台を据えたあとで差込むものである。

なるほど。軒が長ければ(深ければ)余計な柱が必要になる。

縁が無い茶室では、土台がまる見えになる。そういう部分の装飾も大事…というか必然なわけか。

縁側が土台に対する目隠しになっている…っていう発想はなかったなぁ。
でも言われてみればそうか。

とにかく縁側から庭へおりなければならぬ。
その方便として縁に接して石か台がなければ、直接庭先きや軒内に降りるには縁が高過ぎる。
その第一石が沓脱石である。

茶室の場合縁側は無いし、土台の低さも作りようで低く作れそうなもんだが(湿気そうだけど)、
それでも沓脱石を置かざるを得ないのは、実際に沓を置くからでもあるが、沓を脱がせるには沓脱石という機能的なアイコンが必要である…ってことの方が大きい気がする。