茶儀指掌2

一番最初の記事「四疊半爐左勝手圖并薄茶点方之事」より。

一連のお点前は大差無いから省略する。大体千家系のお点前だと思えば問題ない。

だが、客に点てたお茶を出すあたりから結構違う。

上客次客ヘ挨拶シ。
主ヘ御茶頂戴ト禮ヲノベ身ヲ進ミ出。
茶碗ヲ引本座ヘ付テ茶碗ヲ戴キ、茶色ヲ見テ呑ム。
主ハ客ノ茶碗ニ口ヲ付クレバ水指ノ蓋右手ニテ取。左手ヘ移シ建水ノ上ニテ露ヲオトシ右手ニテ拭ヒ。
左手ニテ水指ノ勝手附ノ腹ヘ。蓋表ヲ客附ニして持セ懸置。
(略)
水一杓ヲ汲、流シ飾ノ向フヲ通リ釜ヘ入レ。

松尾流の炉薄茶では、薄茶を客に出した後、水指を開けて水を一杓差すのか。

うちの流派だと濃茶がこんな感じだけど、薄茶でこれは千家風ではないね。

釜ヘ水ヲ三杓汲入レ杓ヲ左ヘ移シ
釜ノ蓋ヲシメ、杓ハ蓋置ノ上ヘ乘せ置、水指ノ蓋ヲ左リニテ取リ右手ヘ移シテシメル。
右手ニテ柄杓ヲ取。左手ヲ添ヘ(略)

あと、水指の蓋をしめたトコで「拝見の挨拶」がかからないのが驚きですな。
他流と交流するとき困ると思うんだけど。

じゃぁいつ拝見の挨拶がかかるかと言うと

又水指ヲ前ノ如持。勝手ヘ入茶道口ニ居直リ。水指ヲ膝前ニ置。
左手ニテ襖一度ニ閉ルナリ。
再茶道口襖ヲ引明挨拶スルナリ
客ヨリ両器拝見ト所望スレハ(略)

水指持ち出して仕舞いの挨拶の後、再度亭主が挨拶に出てくるのである。
そこで拝見の挨拶が掛かる。

これって尾張藩時代に代点が多かったことを示すんじゃないかな。

つまり:

お点前さんと亭主が別だから二度終りの挨拶が発生する。
お点前さんは道具の持ち主でないので拝見は乞わない。

ってこと。