茶儀指掌7

本書には「別記」として、細かい所作というか割り稽古的なものが別に記されている。

その中で、少しだけ茶巾が変わっているので紹介。

一 薄茶点ニ用ユル茶巾ハ始メヨリシホリ。フクダメ。茶碗ニ仕込持出ルナリ。
濃茶点ニ仕込樣ハ。茶碗ヲ能ク洗ヒテ拭ハスニ。絞リ茶巾ヲ入レ。茶筅モ能スゝキテ入レ。茶杓カケテ持出ルナリ。
水指蓋焼物ナレハ絞リ茶巾取出シ、追振ノ通建水ノ上ニテシホリフクタメテ蓋置ノツマミヘ(竪手成ニ)掛ケ上ケ置ク。
(茶筅トウシ仕廻茶碗ノ湯ヲ捨ツル)茶碗左手ニ持。フクタメ茶巾。右ニテ取リ碗ヲ拭ウナリ。
又水指塗蓋ノトキハシホリ茶巾取出シ其儘蓋ノハジキノ前。一文字ニ横ニ上ケ置ク。
(茶筅トウシスミ其茶筅流シ飾ニ飾リ戻ス)
シホリ茶巾右ニテ取リ。追振ノ通リ。建水ノ上ニテ。能ク絞リ眞中ヘ持來リ。
フクタメテ。疊ミ直シ。右手ニ茶巾持ナカラソノ手ヲ碗ノ外ヘ添ヘ。
左ノ手ニテ碗ヲ取リ上ケ。茶巾持タル右ノ手ヲ。右ノ膝ニ置キ。左リノ手ニテ湯ヲ捨テ。碗ヲ眞中ヘ持タル時。シヅクヲ留ル心ニテ。茶巾ヲ碗ノ外ヘチヨツト添ヘ。
スグニ中ニ入レテトクト拭フナリ。

薄茶の時はふくだめた茶巾を仕込む。
濃茶の時は濡れ茶碗に絞っただけの茶巾を仕込む。

これはわからなくもない。濃茶の時は茶碗に湯を差してから、茶巾をたたみ直して茶碗が温まる時間を稼ぐ…というのはいろんな流派であるからだ。

だが、濃茶で水指が共蓋だった時と塗蓋で茶巾の扱いが違うのは珍しい。

共蓋の時は、絞っただけの茶巾を建水上でふくだめて、蓋置の(釜の蓋の)つまみ上に戻す。
塗蓋の時は、絞っただけの茶巾をそのまま塗蓋のはじきの間に掛ける。

共蓋の時は、茶碗の湯を捨ててから茶巾を取る。
塗蓋の時は、しぼっただけの茶巾を取って、さばき直し、ふくだめてから、その茶巾を右手にもったまま茶碗を持ち上げ、湯を捨てる。


共蓋は極力濡らさないようにしている?
塗蓋の時は、逆にぞんざいな感じ。濡れた茶巾をのっけたり、その茶巾を持ったまま茶碗を使ったり…。

塗蓋は共蓋のスペアという考えなら、共蓋を大事にするのは当然ではあるが、塗蓋の方が水に弱そうなので、なんか不思議。