家庭料理講義録十月号紅葉ノ巻5

「秋に適した日本菓子」の章。

石州餅

材料 上等葛粉一合(三十匁位)。 清水三合 粗目糖一合五勺(六十匁位) 赤並餡二十匁

製造手順 久助印又は廣吉印等の上等の葛一合を器に入れ、其れに一合程の水を加へ、葛を良く溶き、

久助印は多分ここ。
http://www.kyusuke.co.jp/
葛の根の写真がすげぇ。

廣吉印は判らない。

更に殘りの水を入れ、其の汁を細き篩、又は目の荒い布で鍋に漉し出し、其れに粗目糖を入れ、其の葛の半量を分けて前の器に取りて置き、而して殘り半量の入つて居る鍋を火に架け、杓子にて攪き廻して居ると、葛は化つて下から漸々に浮き上つて來ます。
可なり浮き上つたなら、鍋をおろして、復た杓子にて良く攪き廻しますと、葛が白く糊の樣になります。
斯様なりましたなら、並餡と前に取り殘して置いた葛とをいれて、充分に混ぜ合せ、第一圖に示す如く、折の底を除つた樣な枠を蒸籠の中に置き、濡布巾を耳か枠の上に出る樣にして、枠一面に敷き入れ、其の中へ前の葛を入れて平にならし、其れを湯氣の立つて居る釜の上に載せ、火を強くして二十分間も蒸しますとすっかり化りますから、其の時釜より外して、第二圖の如く蒸籠より鳥だし、其れを冷して固めてから、枠より抜き出して布を剥がし、庖刀にて適宜に切って用いゐるのです。

石州餅とは、餡入の葛餅らしい。

又並餡を居れずに、葛ばかりで前の樣にして拵えますと、これを水晶羹と申します。
前の分量で拵えますと、厚さ一寸、五寸五分角位の大きさのものが出來上ります。

餡を入れない場合は普通に葛餅のはずだが、そうは呼ばれていない。

葛餅というのはあまりメジャーなものじゃなかったんだろうか?

また、なんで石州餅なんだろう。片桐石州との関係性が気になる。

石州の領地も吉野も奈良県といえば奈良県だが…ちょっと無理が無いか?