茶室考16

待庵の茶。

青木宗鳳著「盆立一件」「妙喜庵立の事」等の筆録によれば、
「元来山崎の妙喜庵は、利休太閤秀吉公を御申致たる数奇屋にて候へば、元来貴人座敷と申て正客と主とは敷居をへだて茶を点て申茶所にて御座候也。
即妙喜庵を戻り大目に立候へは、次の間の壁付に八寸の板畳入候は戻大目の通路也。これ戻り大目の印也。
居戻り大目に敷候へは、角棚にも皆用立申候也。惣て非勝手の所を本勝手に取直し申には此戻り大目八寸の板畳にて本勝手に成候事也」
(略)
以上記述した宗鳳筆録に真をおくならば、待庵は利休時代には貴人座敷として、大目出炉の構成で、次の間で八寸の板畳を活用して而かも角一重棚を使用しての戻り大目であった事を力説している。

待庵は二畳だが、隣の部屋はより狭い一畳間であり、八寸の板で拡張されている。

バックで入って来たお点前さんがこの八寸を使って道具を避けて点前座に座る。
そういう想定か…。トリッキーに過ぎる気もするけど、八寸の板を説明できるという意味では評価できるなぁ。

少なくとも亭主が隅炉に向かい視界一杯に拡がる壁に向かってお茶を点て、客は亭主の背中ばかり見えて手元が良く見えない…という不自然さよりは幾分マシだもん。