日本茶の湯文化史の新研究17

「景気」に関連して「景色」の話。

茶の湯の趣向の様体を表わす用語で、現代でも広く一般の茶人の間で用いられているのが「景色」である。
(略)
しかしながら、結論を急げば「景色」の使用例は極めて少なく、日本の茶の湯の成立した室町時代中期から江戸時代末期に至る茶書の中にも、殆ど見ることができない用語なのであった。

え?そうなの?

じゃぁ茶碗の模様やなたれをどう書いてたの?と思うが、天王寺屋会記も「なたれ一筋」とか直接書いてたな、そういえば。

それにしても現代の茶人の間では口癖のようにいわれる「景色」の使用例がなぜこのように少ないのであろうか。
おそらく、江戸時代末期頃まではこの語が茶道用語として使われず、明治以後に茶の湯の世界の慣用語として茶器の一部分の可視的な情趣を表す用語として活用されたのではないかと推測している。
今後の考察が必要である。

「半煮えご飯一文字」「うんこ座りで銅鑼を聞く」とかと同じく、明治以降に開発された概念の可能性があるわけか…。

これも今後の研究対象ですなぁ。