南方録5

○露地ノ出入ハ、客も亭主もゲタヲハクコト、紹鴎ノ定メ也
草木ノ露フカキ所往來スルユヘ、如是、互ニクツノ音、功名不功物ヲキヽシルト云ヽ、カシガマシクナキヤウニ、又サシアシスルヤウニモナクテ、ヲダヤカニ無心ナルガ巧者トシルベシ、得心ノ人ナラデ批判シガタシ、

露地の下駄は紹鴎の決めたルール。
足音で茶人のレベルが判るという。

宗易コノミニテ、コノ比、草履ノウラニ革ヲアテ、
セキダトテ、當津今市町ニテツクラセ、露地ニ用ラルヽ、

そこで利休は雪駄を作った。

此事ヲ問申タレハ、易ノ云、ゲタハクコト今更アシキニハアラズ候ヘトモ、
鴎ノ茶ニモ、易トモニ三人ナラデ、ゲタヲ踏得タルモノナシト鴎モイハレシ也、
今、京・堺・奈良ニカケテ、數十人ノスキ者アレトモ、ゲタヲハク巧者、ワ僧トモニ五人ナラデナシ、コレイツモユヒヲ折コト也、
サレバ得道シタル衆ハ云ニ不及コト也、得心ナキ衆ハ、先々セキダヲハキテ玉ハレカシ、
亭坊別而カシマシサノ物ズキナリト笑ハレシ、

どうしてと聞くと、ちゃんと下駄を履ける者がお前入れて五人ぐらいしかいないじゃん、
できない奴は雪駄履きゃいいんだよ。

…文学として面白いよな。

自分が書いたお茶の覚書を師匠に見せて確認するときの文章じゃない気はするけど。

大抵の茶書が○○ナル時ハ○○スベシ的な文章なのに、南方録は一線を画している。
画し過ぎている。