南方録12

小座敷の話。

○小座敷ノ料理ハ、汁一ツ、サイ二カ・三ツカ、酒モカロクニスベシ、ワビ座敷ノ料理ダテ不相應ナリ、勿論取合ノコク・ウスキコトハ茶湯同前ノ心得也、

○小座敷ノ花入ハ竹ノ筒、籠・フクベナトヨシ、カネノ物ハ、凡四疊半ニヨシ、小座敷ニモ自然ニハ用イラル、

小座敷つまり四畳半以下の草庵は草であり、四畳半以上の広間は真である、という定義が、南方録にはある。

行はどこに行ったんだろう?というのはまぁ置いておいて。

真の茶をすべき広間で、どういう茶をすべきかの定義が全然ないのだった。

南方録は「小間の茶はこうすべし」というのはいっぱい教えてくれているんだが…。


おそらく武家の広間の茶が念頭にあって、それは読者には自明だから書かなかったんだろう。それは利休時代の広間の茶と違うものだと思うんだが…。

そのおかげで南方録の広間の茶はわりと漠然とした真のお茶足り得ているのかもしれない。