南方録14
野点の心得について。
○野ガケハ就中、其土地ノイサギヨキ所ニテスベシ、
大方、松陰・河辺・芝生ナドシカルベシ、
まずは風光明媚な所を選べ、という話。でも必ずしも「風光明媚」とは言ってないわけか。「いさぎよき所」という文の解釈次第だが、「いさぎよき所」の語感はいいな。
主客ノ心ニ清浄潔白ヲ第一トス、シカレバ此時バカリ清浄ニスルニアラズ、茶一道、モトヨリ得道ノ所、濁ナク出離ノ人ニアラズシテハ成ガタカルベシ、
未熟ノ人ノ野ガケフスベ茶ノ湯ハマネヲスルマデノコト也、
野点だからといって特別な心がけがあるわけではない。
逆に普段からの心がけが大事で、茶禅が一味である以上、初心者の野点は形を真似た程度の事に過ぎない。
手ワザ諸具トモニ定法ナシ、
定法ナキガユヘニ定法大法アリ、其子細ハ只ゝ一心得道ノ取ヲコナイ、
形ノ外ノワザナルユヘ、ナマシヰノ茶人カマイテ/\無用也、
天然ト取行フベキ時ヲ知ベシ、
ルールがないからこそグランドルールがある。
そして得道の人なら、なにをすべきか判っている筈。
南方録の、この哲学っぽい部分を読めば、南方録がどうしてウケたのか判ると思う。
とにかくかっこいいのである!