藤田登太郎 茶陶展

藤田さんの展示は、じっくり触らせていただいて、場合によっちゃご本人に解説して頂けるのがうれしい。となれば、混んでそうな時に行くのはもったいない。平日朝一番に寄せて頂く。会社?んなのはゴニョゴニョ。

今回の展示は昨年松江で拝見した時とは内容も変わり2/3くらい入れ換えたとのこと。松江では窯変渋い目主体だったが、今回は白くガラスっぽいもの、ファンシーな絵柄のものなど多彩。

入口にある"やまさと"が手に馴染む。尻が張っているのにこの手に馴染む形はすばらしい。手から離すのが惜しくなる温かい手触り。

"やまかげ"は厚いガラスの様になった長石釉が半分窯変している茶碗で手取りも重い。茶碗の重さの大部分は釉薬が決めているんだなと感じる。

"花尽くし"はなんともかわいい花柄の志野。"宝船"はじめ織部風の形の志野もあったり。
志野だけでもえらいいろいろなバリエーションを楽しませてもらえる。

拝見していると、障子を明けたり閉めたりしてもいいですよ、と声を掛けて頂いた。明りの具合を変えていい、という許可だ。せっかくなので茶室の蛍光灯OFFの許可も頂く。

蛍光灯の邪魔な光を消し、障子を半開けし外光一筋を採り入れる。茶碗の位置を、陰、境い目、日向とずらしていく。

陰の志野は妖しく、光の志野は眩しく華やか。境い目に置いた志野は表情豊かで筆舌に尽くしがたい美しさだ。

こういう拝見の仕方は去年松江で藤田先生に教わった。自由に触らせてくれる藤田先生の茶陶展でしか許されないてんごうかもしれないが、すごい勉強になっている。いくら感謝してもし足りない。

先生の茶碗でお茶を頂きながら話をお聞かせ頂く時間も貴重だ。藤田先生の作品も好きだが、藤田先生自身のファンでもあるからだ。まったりしながら「ゴニョゴニョしてまで来てよかった」と思う。

畠山記念館併設茶室で25日まで。入場無料。畠山記念館の入場券は不要也。