箒のあと 百十五 茶人失敗談3
掛物の売り損ない、の話。
話の起承転結がいまいち散漫なので、なにがし庵にて編集。
益田紅艶は、自らの経営する「多聞店」で手に入れた一幅の掛物を、大阪の道具商、谷松屋戸田露朝に売ろうと狙っていた。
どういう掛物なのかというと、不昧公が他の大名に谷松屋先々代戸田宗潮を紹介してやった時の消息。
そこで、一計を案じた紅艶は、露朝と大阪の茶人を招き、その掛物を掛けて茶事をし、掛物を欲しがるであろう露朝に売り付けよう、という作戦。
ところが、大阪から来た茶人達はその掛物を見ておどおどし始める。
結局露朝は買わずに帰った。いぶかしく思った紅艶が探りを入れると、その掛軸の文面に以下の様に書かれていたからだという。
谷松屋宗潮と申す者大好事者にて随分御用も辯ずべく大方目利き申候但し左る怖ろしき風聞の男に御座候間必ず/\御油斷遊ばされ間敷候云々
この骨董屋はやばい奴だから絶対油断しちゃ駄目だぜ、って書いた掛軸じゃそりゃ駄目だわなぁ。