茶の湯と筑前
松岡博和/海鳥社/2010年。
表題通り、筑前国…というか福岡市というか博多と茶道のかかわりを書いた本。
力作でかなり読みごたえがある。
場所柄、当然ながら、話の軸は神屋宗湛と、南方録の立花実山の一族を中心に進む。
立花実山が京都大文字屋から妻を貰っていた事。大文字屋は疋田宗観までたどれば「初花肩衝」所持の人ですよ?
立花実山の旅日記にたびたび裏千家に訪問した記録がある事。
養生訓の貝原益軒が立花実山と組んで福岡藩の有力者であった事。
南方録の伝写に重要な役割を果たした笠原道桂が、立花実山の遠戚であった事。
知らなかった事だらけで、すごく勉強になった。
それに比べ、神屋宗湛の側はちょっと物足りない。博多文琳召し上げまでのエピソードもないし。
小早川隆景と神屋宗湛の親交、まで書くなら、祖父神屋寿貞と石見銀山、毛利家政商としての神屋家、そして下関博多を巡る戦いを背景に神屋家が繁栄し、毛利家が衰退し博多を巡る争いも無くなった江戸時代に衰退する宗湛、まで書いて欲しかったな。
でも勉強になりましたよ。
- 作者: 松岡博和
- 出版社/メーカー: 海鳥社
- 発売日: 2010/04
- メディア: 単行本
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