置土産浮世之茶話 その9 沸へ湯

昔時或茶人(小堀宗中の弟子なり)東都より來て。同流なれは。余にまみえむと乞ふ。客言ふ。茶を學ぶの序で、柄杓の扱ひを問ふ。
宗匠云ふ。右に柄杓を持ち湯を汲む時。左の脚に力を入れ。右の脚を浮けて置くなりと。
故如何とならば。者し席中に狼藉ものある時は沸へ湯をかけ刃傷に及ぶなりと云ふ。
余笑つて曰く。珠光は入此室者外離人我相内蓋柔和徳顕といへり。是れ客は茶徳を知らさる人なりと。謂つて點止す。

編者曰く。茶道者弊に流がれて。茶徳は地に墜ちたり。茶室に於ては。怪力亂神を語るべけんや

右手で湯を汲む時は左脚に力を入れれば、狼藉者が襲いかかって来た時、お湯バリヤーで防御できていいですぜ!と遠州流宗匠さんに言われたゼ!

って事か。

これどう読んでも大森宗龍の体験談だよなぁ…。すげえぜ武家茶道?


あ、でもいちおう別流立てた家元の自分に、他流家元の直弟子が「同流だしお茶しようよ」と言ったのにむかっぱら立ててこんな事書いた可能性も否定できんなぁ。