茶懐石

魚谷常吉/河原書店/1936年。

神戸の料亭主人の書いた、懐石の本。
…という事は関西風懐石の本、という事になるのかな?


もちろん、料理のレシピがいろいろと載っているわけだけど:

猶この煮物は、如何に御馳走であるとは申し乍ら、餘りに大量になるのは考へもので、器物などに囚われるやうなことのないように致し度いと思ひます。
煮物椀には、普外れの大きなものが、相當數多くありますので、蛇足とは考へましたが、一言申添えておきます。

こういう料理がいいよ、というだけでなく、量に関しても教えてくれるし、それが実際的で判りやすい。


初釜の茶事の趣向では:

趣向と致しましては、勅題に因み、或は干支を利かせた料理を八寸に使つたりなどすると面白いですが、餘りに凝り過ぎるのは不愉快なものが出來上ることがありますから程々にすべきであります。

too muchはいかんよ、とまで言っている。
なるほどねぇ。

読んでて楽しい。結構な名著ではないかな。