懐石料理とお茶の話 八百善主人ものがたり

江守奈比古/海南書房/1964年。

江戸懐石の八百善のじいさんに、江守奈比古が昔語りを聞いた本。
多分なんかの雑誌の連載なのだと思う。

聞書、即ちインタビュー型式なので、若干江守奈比古の誘導尋問的な部分もなくもないが、八百善の博識には舌を巻く。

が途中、八百善の爺さんが体調を崩してしまう。
そこでいくつか別の人へのインタビューになるのだが:

八百善老人の対談も度重なって八十五話になった。
この間に老人も不死身ではないから風邪をひくこともある。
(中略)
又恰度この辺で筆者の「お茶」に対する考え方を一応まとめて申述べることが今後の対談内様の御理解を深めるのに便利であろうと思う。
それには筆者の独演とするよりも、漫才ではないが対談者があつた方が論旨を解明するのに便すると思うので、今度は八百善老人とは正反対の近代女性─仮にA子とする─を相手としてこの対談型式を進めて行こうと思う。

筆、A子さん、今回は八百善老人の代りにおつきあい願うのですが我々が楽しみに住つて居る「お茶」の世界などを貴女はどう見ていますか。

A子、そうでございますね、私などはよくわかりませんが、お稽古事として「お茶」は唯御作法を習う位に思つて居りましたが(後略)

対談型式の途中に架空の対談入れるのやめようよ。
他が面白い対談なのに、なんか全体が嘘くさくなるからさー。

ま、他は面白かったんで、明日からはその辺について。