日本喫茶世界の成立

山田新市/ラ・テール出版局/1998年。

茶の湯に関する研究本。ラ・テール出版局という事はつまり自費出版か。でも意外に面白い。


「序章 先行する風景」では、唐から茶の木が伝来する以前!の茶について。

簡単に言うと:

だが日本の茶と喫茶の歴史は、中国との関係でだけ概括すれば足りるものであろうか。

と言うこと。

つまり、

茶樹が日本に自生した可能性はあった。茶の研究者が気づかなかったにもかかわらず、発見者によってThea Ubensis(ウベチャノキ)と名づけられた化石が意味したのは、それがいわゆるヤマチャと同一・共通種であったかどうかは別として、また縄文・弥生の種子の存在が茶栽培と飲用の習俗の行われていたのを裏づけるかどうかも取りあえずおくとして、茶樹が間違いなく日本列島に自生していたことを推測させるというその一事である。

唐から茶の木が招来される以前、縄文時代に茶の実が遺跡から見付かっており、古代人はなんらかの喫茶文化を持っていたのではないか?という事。

しかしながら、縄文人の文化は唐の文化を有り難がる大和王権に駆逐されたとは著者も認める事なので、これをもって庶民の茶の文化が連綿と続いていた…とは言えない様だ。

縄文 VS 弥生とか、大和王権って自費出版トンでも本らしいといえばらしい展開なのがちょっとイカス。