茶道と香道13 菓子

序に菓子の心得をばいはむ
茶には餡の物宜ければ客を招待するには必ず蒸菓子を用意し小盆(銘々盆と稱す形さま/゛\有一閑張くり盆何れも塗盆)に只一ツ(二ツはもらず)
釣樟の楊枝(六寸本式)皮付を上にして添へ出す(出す際楊枝を濡して拭はず)
もし不時の押懸客あり蒸菓子の用意なき時は有合の干菓子にてもよし
但し和らか物なくてと、ことわりの挨拶すべき也

ついでに菓子の心得を言おう。
茶にはアンコ物がいいので、客を呼ぶときは必ず蒸菓子を用意し、菓子鉢の類を使わず、銘々皿に一つだけ盛り、黒文字を添える。
不時の茶会で蒸菓子がない時は干菓子を出していい。でもそんときゃその旨客に言い訳してね。


さて、気になるのは「蒸菓子」という用語だ。
この蒸菓子に「上生」は含まれるのだろうか?

製法的に考えると、蒸して作るのは饅頭等であって上生菓子は蒸菓子ではないが、和菓子屋によっては上生を蒸菓子に分類している所はある様だ。


実は明治頃の茶書だと、菓子は餅だったり饅頭だったりしていて上生の使用例が見付からないのだ。上生の使用開始時期はいつごろなんだろうか?気になっている。