茶道太平記

原田伴彦/淡交新社/1959年。

南北朝の動乱を茶道の視点で見たもの…ではない。

同じ軍記物語でも、保元物語には、源義朝と為朝という二人の主役が登場してくる。
(中略)
ところが太平記になると、もはや一人の主役もいない。
なるほど後醍醐天皇や正成あるいは尊氏という、主要人物らしきものはあるが、全体からみるとその影がはなはだ薄い。無数の人物が、南北朝という舞台の花道を、右から左に歩み去って行くだけである。
太平記というのは、登場人物からいうと、そのような作品である。
(中略)
太平記」というものを、このような見方をする読物だと解釈する、私なりの論法に従って、茶の歴史という花道に、次から次へと登場する人物にライトをあてて、それらの人物の面影や、そこに漂うそこはかとなき趣きを書きとめるという意味で、「茶道太平記」と名づけたわけである。

いやそれ普通の茶人エピソード集やん。

…でもそうでもないんだよなぁ。

ちゃんとした歴史知識のある人の書いた、独特の趣きのある各エピソードは明日から。