茶会記の風景6 織田有楽

慶長十八年(一六一三)九月二十七日、織田有楽は大坂天満の自邸に、豊臣秀頼を迎えた。
相伴衆大野修理亮治長と武野宗瓦。
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さて有楽は、秀頼の“御成茶会”に瓢箪花入・芋頭水指・清正尻膨茶入・甲茶碗などを用いたが、なかでも「懸物 大灯 松岳の似せ物」とあるのが目を惹く。
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これには少々説明を要する。まず松岳紹長は大徳寺百三十七世となった臨済僧で
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松岳が大灯国師墨蹟の偽物を作り、有楽へ売却したことが露見して、大徳寺を追われたことがわかってくる。

御成茶会にしては渋いラインナップだが、瓢箪、清正茶入、甲の茶碗と豊臣秀頼へのハッパ掛けが半端ない。

ところでこの清正茶入とは現存するものだろうか?

話をもとに戻して、秀頼の有楽邸御成茶会は『有楽邸茶湯日記』という有楽の茶会記に記録されている茶会で、
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『有楽邸茶湯日記』は『大日本史料』に翻刻されており
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奥書によれば少なくとも四回の転写を経たもので、いずれかの転写の際、「松岳似せ物」と書き込まれた可能性が高い。

これは“大日本史料第十二編39 後水尾天皇自元和七年十一月至同年十二月”に収録されているらしい。

…また買わなあかん本増えたやん。