京都美術大観 茶室11 47.表千家不審庵
特徴
最も異なってゐる所は、茶道口であつて、白の太鼓張高さ五尺七分二尺五分のものを蝶番で柱に附け、自然に之を放置する時は必ず閉ぢる仕掛けになつてゐる。
開けておけば何か重いものを下に置いて閉らうとする運動を静止さしておかねばならない。
今試に茶の手前をすると先づ此開きを外側に充分に開き、之れの裾に建水を置いて閉ぢんとするを静止さしておき、次に必要の道具を運び終つた時最後に建水を持つて即ち静止さしてあつたものをはづして内に入る。
而して入口に静坐してゐると此太鼓は徐々に柱の方に向つて閉ぢてくる。
然る時此の太鼓張の六ツ目の棧に附してある懸金を取つてしめ切り柱にある壷に此懸金を押し込むのである。
此間に充分動静の工夫に入る事が出來て中々深い味のある樣に考へられてゐる。
不審庵がスイング式自動ドアになっている、という話と、そこでのお点前の仕方なんて初めて読んだ。
日本を代表する流派の、メインの茶室としてはかなり奇を衒った茶室なんじゃないだろうか?