茶道規範17 聞書 薄茶の事

薄茶の道具について、茶道便蒙抄にはこうある。

客亭主隙にて緩々とはなしある時は薄茶立べきよしを云て、水壺持出茶を點る事なり。
其品濃茶の時とおなじ事にて。釜の蓋をしめざるものなり。
外に替る事なし。
諸道具も最前の者にてよし。
品を替ゆるは惡し。

薄茶の時の道具は濃茶と一緒で良い、というわけだが、「何故」とかが聞書で補強されている。

その日の客へ馳走に出したるものなればなり。

つまり、濃茶ではその日の最高の道具を出したので、薄茶でしょぼい道具を出すのは失礼だし、より良い道具を出すのも出し惜しみしたようだから、ということだろう。

末流に薄茶茶碗と名付小ぶりを出し又數を出す、當流は用ゐず。
濃茶の茶碗にて點べし
惣て當流にては大ぶりの茶碗は好まず。三服ぐらゐ點らるべき茶碗にてさへあれば大小に搆はず用ゐるべし。

宗偏流では数茶碗は使わない、という事のようだ。

大ぶりはダメ、と書いてあるが、濃茶としての大ぶりであって、濃茶3服点てられる茶碗は薄茶碗としては大きめである。

さすがに各服点てだろうから、茶碗一個では薄茶は時間がかかるかもしれない。

でもせかせかするのは薄茶には向いてないし、大寄せでもないのに点て出しは有り得ないんだから、これでいいのかもしれない。