茶道文化論集26 茶会記のはじまり

現存する茶会記のうちで、最も古い年代を示すのが『松屋会記である』。
原本は失せて、写本のみが伝わっているが、天文二年(一五三三)三月、奈良転害郷の松屋初代の塗師屋(漆屋)源三郎が招かれた東大寺四聖坊の茶会にはじまる。

初期茶会記の一冊として、松屋会記の信頼性はそれなりにある、と思っていた。

が:

奈良の『松屋会記』が天文二年にはじまるのは驚異である。
堺では茶会記は天文十七年に津田宗達の自他会記がはじまるのが古い。
そこで、『松屋会記』が天文二年にはじまるのはおかしいとの疑問もある。
ちなみに、松屋久政は慶長三年(一五九八)に七八歳で没したと云われるので、年齢的に無理といえる。

…四聖坊に招かれたのが12〜3の頃、ということになるのか。ボエー。