新修裱具のしをり3
裱具の三体
表装に真行草の三體の沙汰があることは第一章に述べた如くである。
三體とは裱褙が真、幢褙が行、輪褙が草とするので、其事は南坊録・正伝集・三百箇条其他一般の茶書に説くところである。
普通に表具するところは幢褙の式である。
茶道では此三體を表具の式として其他は略なりとし、沙汰に及ばぬ。
名は知ってた。でも掛け物を見て「これは行の草だな」とかとっさに言えるかというと、微妙。
勉強不足である。
三体には又その各体毎に真行草の三体が立てられてある。
併し草の輪褙には真を立てぬので凡ては八式とする。
ああ、草の真はないのか。そうだよね。くだけながらかしこまるのは変だもんな。
三百箇条に云ふところでは、是には真がなく唯行と草のみであるとするので、一般に此説を用ひて居るが、併し織田有楽斎はやはり輪褙の真を立てゝ居る。
正伝集に「左右の縁に一文字の切れをほそく切りてまはしたるを真の輪褙と云也」とある。
有楽斎は正伝院と称するので其聞書を『正伝集』と云ふ。
有楽斎ェ。
時折出くわす有楽斎の酒脱…というか逸脱。有楽斎って高田純次的なおっさんだったじゃなーかとも思う。