天目茶碗考10
○油滴
君臺觀左右帳記に、ようへんの次、是も一段の重寶也。
(略)
此の記事に依り考ふれ\ば、油滴は支那にて謂ふ所の鷓鴣斑又油珠と云ふものに當る樣である。
油滴の中国名が判ったのは収穫である。
割りと数のある茶碗だしね。
釉色鼠色にして同色白暈の細點あり、恰も鷓鴣の羽に似、又油を水上に點じたる如くなる故に此稱ありと思ふ。
(略)
鷓鴣は鳥のシャコ。確かに模様は似ている様な。
星天目と稱するものも多分、同物を云ふものと思ふ。
茶道正傳集に油の滴りたる如きのぎ目走りたるものなり、曜變の次也。
又茶道筌蹄に、くすりたまり滴の如くなり、とあるのは首肯し難き説で、禾目走りたるものは禾天目として見るべきもので油滴ではなからう。
(略)
星天目といって曜変と混同したり、あるいは禾目天目を「油の滴った跡」として混同したりと、意外と他のものと間違いやすい…のか?