テクノクラート小堀遠州

太田浩司 著。

はじめに、の冒頭を引用する。

小堀遠州という人物は、二面性をもっている。
一つは、"茶の湯"、造園などに通じた芸術家としての姿である。
(略)
しかし、彼はもう一つの顔ももっている。
忠実な幕府の官僚としての姿である。

その後者をあぶり出そう、という本である。つまんなさそう?…ま、そうかも。

古文書をベースに、茶道史ではなく歴史の中から拾いあげて来た小堀遠州。事蹟中心に語り、茶匠としての面、人間としての伝承面は極端に排除されている。かなり夢もへったくれもない。

それだけに、オブラートに包まれない遠州がごろりと転がっている。茶道具商まがいとしての遠州もあり、死の商人としての遠州もあり。歴史ファンとしては、それなりに面白い。

ところでこれ、月刊『遠州』連載の原稿に加筆だったらしいですけど、どれくらい「加筆」したんだろうか?ちょっと気になるよねー。