井戸茶碗の見込み
喜左衛門井戸の実物を初めて見た時、「目跡がある」という先入観が否定されて驚いた記憶が私にはある。
そう。井戸茶碗には必ず目跡がある、というわけではないのだった。
根津の井戸。せっかく72も碗があったんだから、目跡に関して調べてみた。
種別 | 有 | 無 | 目跡有率 |
---|---|---|---|
大井戸 | 16 | 22 | 42% |
小井戸 | 13 | 2 | 86% |
青井戸 | 13 | 6 | 68% |
大井戸は、目跡がある方が少ない。
しかし小井戸、青井戸は目跡がある方が多い。
特に小井戸。
これはなぜか?
三つ思い付く。
大井戸は、もともと見どころたっぷりで、目跡の有る無しでそう簡単に評価が下がったりはしない。しかし小井戸や青井戸は、目跡の様な約束が守られている事が必要だった。だからそういう視点で作為された、というのがその一。
上とほぼ同じ理由だが、作為でなく、目跡のない小井戸や青井戸もあったが魅力が無く伝世されなかった、というのがその二。
小さい小井戸の方が重ね焼きに向いていて目跡が多い(本当かどうか判らん)、みたいななにか技術的な理由がある、というのがその三。
…個人的にはその一じゃねーかなーと思っている。