豪快茶人伝

火坂雅志。なごみで連載されていたものらしい。
この人来年のNHK大河ドラマの原作者なのね。


いまどきの歴史ものは「こういう定説がある」「だったのであろう」「××日記の記載を原文で引用する」的な客観性を持たせた演出を多少なりとも伴うのがふつーなので、

(どうだ。これが、わしの力よ)
弾正は鳶色がかった瞳を炯々と光らせ、うそぶいた。

みたいな勝手主観のごてごてした文章がちょっと懐かしい。


実は内容は期待してなかったが、知らなかった事もいくつか書いてあるのでうれしい:

  • 遠州の自画像は若い頃にわざわざじじいっぽく書かせたもの、という話
  • 家康も黄金の茶道具を持っていた
  • 松平乗邑の話

…のだが、信用していい二次資料(矛盾だが)なのかちょっと心配。というのも、茶道史でない歴史部分の認識がごくごく古くさく通俗的なので、どれくらい茶道史の方も裏とれているのかよくわからんから、なのだ。


例えば今、私が忠臣蔵に関して何か説明文を書いたとしたら、

ことの原因は勅使饗応役を命じられた浅野内匠頭に対し、

とは書かないだろう。
「積年の恨みなど諸説あるが、実際判らない。明らかに家が潰れるのに、城内で抜刀する程の理由は見付からない。当時のおおかたの人同様、乱心、と片付けるのが一番しっくりくる」とか書くと思う。
でもこういう通俗性が大河ドラマ原作には必要なのかもね。

あと、タイトルの豪快、はダウト。この辺の人が入るので別に豪快じゃないです。

それとも「豪快にひよった」ぐらいの意味か?