益田鈍翁をめぐる9人の数寄者たち

松田延夫/里文出版/2002年。

9人とは、高橋箒庵、井上世外、赤星弥之助、朝吹柴庵、益田紅艶、馬越化生、益田非黙、石黒況翁、原三渓


なんと言うか、評価に困る本である。


ぶっちゃけ「近代数寄者の茶の湯熊倉功夫とごくごく似た書物だが、「近代〜」が編年体ともなんともつかないものなのに対し、こちらは完全に列伝形式。

各数寄者に関しては大変良く調べてあり、勉強になる。

なにより赤星弥之助の伝記があるのがうれしい。
赤星家旧蔵、というと茶道具でも日本刀でも「すんげえ」って感じなんだけど、じゃ赤星家て?というと全然知らなかった。

熊倉が高橋箒庵や野崎幻庵の茶会記あたりからすらっと引用してお茶を濁して済ますのに対し、松田延夫さんはさまざまな資料から側面を考証してくれたりする。

だから読んでて楽しい。

でも、この人選どうだろう?

益田兄弟や化生、三渓はいいと思う。
でも赤星弥之助なんて赤星家売り立てしか鈍翁との接点が無い。

これじゃタイトルに偽り有りである。

もしこのタイトルで、9人選ぶとしたら

益田紅艶、馬越化生、益田非黙、
三渓、森川如春庵、団狸山、
野崎幻庵、松永耳庵、藤原銀次郎

じゃないかなー、JK。

益田鈍翁をめぐる9人の数寄者たち

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近代数寄者の茶の湯

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