益田鈍翁 風流記事4 おたき
鈍翁の妾、おたきさん。
水屋で聞いた数寄者同士の会話からインサイダー取引で大儲けした、みたいなエピソードを持つ女傑。
息子の信世さんもそうだけど、なぜ彼女が「益田たき」なのか?という事に答えてくれた貴重な証言。
柴田 側室が本妻のように、益田たきでございますなどと名乗ら
れては、本妻はたまらんですよ。あの益田はうちの益田で
はございませんといったところで、どうにもならないん
だ。
鈴木 ということは、どういうことですか。
柴田 それは、平松に聞いた話では、極秘だが、おたきさんが
身寄りのない益田という老人から「益田」の戸籍を買った
ということなんだ。
そうでないと、益田たきなどとは名乗れないわけさ。
おたきさんには悪いが、これが真相らしいんだな。
おたきさんが鈍翁の次男の信世さんを身籠った時、鈍翁が
入籍をしぶったらしいんだ。
そこでおたきさんは意地でも、生まれてくる児を益田姓に
したかったんだな。
…信世出産時点で19才なんだぜ。おそろしすぎるよこのひと。