茶杓をつくる7 蟻腰、雉子股

次は順樋について記したいと思う。
まず第一に逆樋と順樋のちがいは、逆樋は節裏を刳り取ることが、竹の構造上不可能である。
これに対し順樋の竹は、初期の名作はほとんど例外なく、かなり深く節裏の部分を削り取っている。
(中略)
現代の茶道各流では、こういう作りの茶杓は使っていないようなのでこういう作り方は古法で、いまの使いものにはならないかも知れない。
実際使う場合には、刳らないほうが合理的だと考えられるし、しかも丈夫で長持ちするから、刳らないで、ずん胴のほうが実用的だともいえる。
第一、生産費が安上がりであるから、いまのものは、節裏を刳り削るような手間のかかることはしなくなったのであろう。

節裏を削らない風潮に関しては著者も内心「手抜きじゃねーの?」と思っていたのではないかと思われる。

しかし実用面で言うと、著者は間違っていると思う。
私には蟻腰の方が全然使いやすいからだ。

棗等の上に乗せたとき、蟻腰は2点で接地し安定する。節裏を削らないと1点接地になって、ちょっとした風程度でくるくる廻るのだ。


頑丈さに関しては、当然削らない方がいいわけだが…そもそも茶杓は長時間保たせようと作るものじゃない筈だしなぁ。