茶杓をつくる6 順樋と逆樋

古い伝書には「さかひはくらず」というように書いてあるが、そのように、逆樋の茶杓は竹の構造上、次ページの写真のように中節の裏側を直線的に削るのが原則である。

順樋の茶杓は節裏を大きく削る蟻腰にできるが、逆樋はそうできないとここでは言っている。

逆樋の場合は、写真の上から三、四番目のもののように、枝が出ていた様子がよくわかり、樋の部分がその枝の左下へ続いている、
だからここを蟻腰のように刳って取ると、もろくも壊れてしまうことになる。

竹の節と節の間に樋が縦に走っている。
下側の端は竹の枝が出ているところであり、逆樋になる。
上側の端は竹の枝が出ていないところであり、順樋になる。

順樋には特段の構造がなく削りやすい。
逆樋には枝の痕跡があり、裏を削るとぽっかり穴が開いたりする。

順樋の茶杓に蟻腰の刳りがなくなるのは、宗旦のころからのようである。
なぜこの刳りがなくなっていくのか、それはよくわからないし、現代では蟻腰というほうが変形で異相だから、そういうことに不審をいだく人もないのだろう。

蟻腰といえば利休、という先入観はあるものの、だからといって後代の茶杓には蟻腰がない…とは思っていなかった。
が、これだけ茶杓を見た人物がいうのだから、そういう傾向があるんだろう。


だとすると、理由は美意識なものか、先達への遠慮か、でなきゃ工数削減による量産化だな。うん。